2020年初頭から世界中に未曾有の危機をもたらしているコロナウイルスですが、みなさまもご承知のとおり日本も決して例外ではなく、経営者の方々にとっては健康被害以上に大きな問題となっています。
2020年5月4日、約1ヶ月続いた緊急事態宣言が「延長」される運びとなり、同日「新しい生活様式」なる生活の指針が発表されました。
これは、コロナウイルス感染症の広がりが落ち着きをみせたあとも感染拡大を防ぐ長丁場な対策の一環であり、生活場面ごとに感染症を予防するための方法が盛り込まれています。
しかし、現状では先行きが不透明ということや、生活者への責任転嫁のように見えてしまうこと、そしてなにより国による十分な経済支援策が未だ行われていない中での突然の提言だったこともあり、賛否両論が集まる結果となりました(主観では批判的な意見が多かったように見受けます)。
新しい生活様式って、単に生活スタイルが変わるってことじゃない。
会話しないでご飯食べたり、常にマスクしてコミュニケーションとることなどが、人間関係や人格の形成にも変化を及ぼすということなのに、形をどうするかの対策ばかり。それをどうする!?って考えるのが私たちの仕事。— 宇野弘恵 (@hihiroro1717) May 5, 2020
専門家会議の言う新しい生活様式とは、
テレワークでもあるし、電子マネーでもあるし、つまりは「コロナ前の状況に戻ることはない」という提言。「今耐えれば」や「外出しなければ仕事にならない」と思ってる人は、これからの社会変容に遅れてしまう。
つまりは変革の時期ですね。— アメリー グレイ / Amery Gray (@Amefuri_chacha) May 1, 2020
専門家会議の「新しい生活様式」について「細かすぎる」って批判があるけど、ここまで細かく言わないと「抽象的だあやふやだ」ってやっぱり批判が出るわけで…専門家会議の資料はあくまで「『新しい生活様式』の実践例」で、その通りに全部やれと言ってるのじゃないですよ。https://t.co/SSyj5wr2tj
— 佐々木俊尚 (@sasakitoshinao) May 5, 2020
専門家による本提言はあくまで「実践例」であり、法的強制力はありません。しかしながら、これまでと同様の生活に戻ることで感染症の脅威が復活するであろうことは容易に想像され、日本だけでなく世界全体として取り組むべき大きな社会変革の時期が訪れているのかもしれません。それこそ将来、社会科の教科書に掲載されても不思議ではないレベルの変革です。
今回はその「新しい生活様式の実践例」における「働き方のスタイル」について詳しく取り上げるとともに、経営者のみなさまや雇用される方々への働き方に関してひとつのご提案をします。
新しい生活様式の実践例:働き方のスタイル
「働き方のスタイル」の項目では、下記の6項目が紹介されています。
- テレワークやローテーション勤務
- 時差通勤でゆったりと
- オフィスは広々と
- 会議はオンライン
- 名刺交換はオンライン
- 対面での打ち合わせは換気とマスク
社会にはさまざまな業種の企業があり、それらの企業の中にさまざまな職種が含まれることから、社会人すべての方に上記が当てはまるとは言いきれません。これらはあくまでオフィスワークを主体とする考え方といえるでしょう。
ここからは、各項目の企業における実践可能性について解説していきます。
テレワークやローテーション勤務
テレワークに関しては、主に「在宅勤務」という形式で都心部の多くの企業がすでに導入しています。
しかし、本来のテレワークは「=在宅勤務」ではありません。今後コロナウイルスの広がりが落ち着いて外出が今よりゆるやかにできるようになった暁には、サテライトオフィスでの勤務やモバイルワークといった、テレワークの本来の定義である「場所や時間に縛られない柔軟な働き方」が社会的にも、従業員の中からも求められるようになってくるでしょう。
テレワークの定義に関する詳細は本サイトでも解説を行っているので、ぜひあわせてご覧ください。
今回は企業の経営者やテレワーク推進のご担当者に向けた記事です。 社会情勢の変化を受けて、都心部を中心に「時差出勤」や「テレワーク」が始まりました。必要に迫られてという形ではあるものの、「日本の働き方が変わる」と期待される声が上[…]
ここでの課題は、「サテライトオフィスを契約するほどのコスト捻出が難しい」という場合です。現状のように在宅勤務を勤務形態の一選択肢として加えるという手段もありますが、実は在宅勤務によって従業員の健康にさまざまな悪影響が生まれており、中には「在宅勤務はつらい」「早く出社したい」などという声も上がっているほどです。こちらも本サイトで解説を行っています。
※今回は、企業の経営者やテレワーク担当者向けの記事です。 記事の内容に心当たりのある従業員の方は、企業内に周知していただくことを推奨いたします。 都市部において新型コロナウイルスの感染が急速に拡大している事態を受けて、202[…]
ローテーション勤務については土曜日曜を含めたシフト制の導入などにより実践ができそうですが、家庭の事情で土日に働けないという方や、土日を割り当てられて不満を感じる方が出てくる可能性が推測されます。
また、大企業においては勤怠管理が複雑になるため、コーポレート部門の負担についても考慮し、増員などの策をあらかじめ講じておく必要があるでしょう。
その他の懸念点として、チーム全員が一同に会する頻度が少なくなるためこれまで以上に徹底した業務管理が必要になるほか、責任者不在時の対応など、業務マニュアルの刷新も必要になってきます。
時差通勤でゆったりと
時差通勤に関しては何年も昔から、都心部での通勤ラッシュを緩和するために国が提言してきたことでした。これまでは努力目標でしたが(とはいえ今回も強制力はありませんが…)、密な空間の発生を抑えるという別の意味を伴って、より一層の企業努力が求められることになるはずです。
現在の労働基準法では22:00〜5:00までの勤務に深夜手当が発生することと、夜と朝に負担のない勤務時間帯になることを考慮すると、大きくても2時間程度の差が妥当であると考えられます。
この点に関しては、現在8時間が基本とされている就業時間そのものが変わってくる可能性もあります。ただしこれは労働基準法と密接に関わってくるものでもあるので、今後の企業動向次第というところでもあるでしょう。
オフィスは広々と
建物の構造自体を変えることはできないので、オフィスに定席する人数自体を減らすことでレイアウトを広くとるという手法が考えられます。
また、フリーアドレス制のように1つの座席を誰でも利用できるようにすることで、レイアウトの自由度はより高くなります(個人の荷物を片付けてもらう必要がありますね)。Office 365といったデジタルワークプレイス(※)を実現するグループウェアを用いることで、座席の自由化はさらに実践しやすくなります。
会議はオンライン
こちらもすでに多くの企業が導入されていることかと思われますが、ZoomやTeams、WebEX、Google Meetなどを利用したWeb会議の普及が現在進行形で進んでいます。
Web会議に関してはここ数ヶ月間で「Zoom」が圧倒的に利用されていましたが、2020年3月にZoomにおけるセキュリティの脆弱性が指摘されたことを受け、他社ツールへの移行も少しずつ始まっています。Zoomを企業で利用すべきかどうかについて迷われている経営者の方は、以下の記事をご覧ください。
テレワークでオンライン会議サービス「Zoom」を使用している方!要注意です。 最近、至るところでZoomのセキュリティ問題が危険視されるようになっています。 結論からいうと、現時点(2020年4月20日)ではテレワークでZo[…]
オンライン会議自体にはデメリットをカバーするほど多くのメリットがあるため、コロナウイルスの諸問題が落ち着いてからも一定の普及率は保たれることでしょう。懸念点があるとすれば、在宅勤務でWiMAXなどのモバイルルーターを個人利用している従業員の方が仕事で容量を圧迫させられることになるため、在宅勤務を続けるようであればインターネット回線にかかる費用の会社負担も視野に入れる必要があるということです。こちらも本サイトで取り上げました。
テレワークが導入されるようになり、早い企業ではもう3ヶ月ほど経つのではないでしょうか。 現在の状況を考えるとテレワークはこれからもしばらく続くでしょうし、これまで国が推し進めてきた働き方改革の一環になりうるということもあって、社会情勢[…]
名刺交換はオンライン
これに関しては恐縮ながら私見を述べさせていただくと、日本の慣習が続いてしまったことによるものなので、これを機に廃止してもよいくらいかと考えています。デジタルでの情報交換サービスや(SanSan社の「eight」がそうなるかもしれません)、海外で普及しており日本でもときどき使われているLinkedInといったビジネス用のSNSを代替とするちょうどよい機会でもあるのかもしれません。中小企業ではさほどかもしれませんが、数千人規模の大企業では大きな経費削減になります。
厚生労働省のHPに定期的に上がるコロナ対策の分析提言の資料に『新しい生活様式』の実用例があった。
⑷の働き方のところに名刺交換はオンラインで、とあるけどあの名刺交換儀式はなくなるのかな?顔と名前を覚えるのが凄く苦手なので打ち合せに数人きたら絶対に覚えられないです笑。 pic.twitter.com/ufqxuvi5M6
— astin_muhler@果実をデザインする人 (@astin_muhler) May 5, 2020
https://twitter.com/oidKqao2AWtRxtX/status/1257882562355064832
新しい生活様式をみていたら、名刺交換はオンラインで、とあった。
名刺の代わりにFacebookのアドレス交換することが増えますね。
ますます個人の時代に。
SNSを認めていない企業はお仕事やりにくくなりそう。— 石見一女Be&Do CEO (@kazumeiwami) May 4, 2020
対面での会議は換気とマスク
これはビジネス上に限らずあらゆるところで生活の新しい常識になりうるものでしょう。使い捨てマスクは幸いにも一般市場に出回りつつあり、これからは医療従事者でなくとも手に入るようになります。
会議室に窓がない企業も多いかと思われますが、その場合にはドアを開けておく(音漏れなどのセキュリティに注意しましょう)、換気のできるシステムを設置するなどの工夫が必要です。
新しい働き方に役立つ?レンタルスペース契約
ここまで新しい働き方の実践例について解説しました。
冒頭で「提案をする」と述べましたが、実は個人で借りられる貸し会議室型の「レンタルスペース」が今回の「新しい生活様式」に適しているのです。
サテライトオフィスとして使える
貸し会議室タイプのレンタルスペースはもともとビジネス利用に特化しているため、サテライトオフィスとして利用することが可能です。元々15人程度を収容できるレンタルスペースであれば、レイアウトを変えて広々と4人〜6人程度で集まることもできるでしょう。
ベルサールなどに代表される大きな貸し会議室ではないので、1時間に100円程度からレンタルすることができます。また駅から徒歩5分圏内という好立地の物件も探せばあるので、移動もスムースです。
密な空間を避けて作業や対面での打ち合わせができる
上記でお伝えしたとおり、大きなレンタルスペースであれば4〜6人、小さくても2〜3人はまとめて利用ができるほか、マンションタイプの部屋なので窓を開けて十分な換気をすることもできます。
インターネット回線も完備していることが多くWeb会議にも使えるほか、クライアントをレンタルスペースに招くことも可能です。第三者以外は入室できない仕様になっているので、安全面でも抜かりはありません。
企業単位での「包括契約」という可能性
現在は多くのレンタルスペースが休業していますが、これからレンタル利用が再開になった暁にはおそらくゆるやかに外出もできるようになっている時期となっているはずです。ようやく外出でき、在宅以外で勤務ができるようになることから、レンタルスペースの個人申し込みが殺到すると考えられます。
そのときに備えて、信頼できる運営企業と包括的にサテライトオフィスとして契約を結び、従業員が自由に使える環境を構築しておくというのも手といえます。
都心部でのレンタルスペース運営企業
最後に、都心部(新宿・渋谷・池袋・横浜)で複数のレンタルスペースを運営する「シーズスペース」を紹介します。本記事の会議室の写真はすべてシーズスペースのレンタルスペースです。
シーズスペースを取り上げた理由は以下のとおりです。
- すべてのレンタルスペースが駅徒歩5分圏内
- 1時間100円から利用可能
- リピート率8割という高い満足度
- すべて貸し会議室タイプでビジネス利用に特化
- 個人ではなく企業が運営しており信頼性が高い
筆者もシーズスペースのレンタルスペースを利用したことがあるのですが、レンタル申し込みから実際の利用まで特に支障もなく、スペース内では集中して作業をすることができました。
コンビニエンスストアが近く買い出しとプリントアウトに便利だったことと、「これがレンタルスペース?お洒落だなあ」と感じたことが大きな印象です。
シーズスペースも例に漏れず休業中ではありますが、ぜひ一度企業利用について問い合わせていただくことをおすすめします。
激動する時代の中でスマートな変革を!
今の状況はしばらく続きそうですし、最近は「アフターコロナ」という言葉が生まれるほど、これからはコロナウイルスの騒動が収まっても暮らし方を大きく変えざるを得なくなりました。
今回は「新しい生活様式」という形で国から提言がなされることとなり、(特に国民の不安が高い悪いタイミングということもあって)波紋を呼びはしましたが、健康に働き、健康に生きていくためには、やはりこれまでとまったく同じ暮らし方を続けることは難しいと自覚すべき時期なのかもしれません。
だとすると、今後はよりスマートに時代の変革に乗れる企業が生き残っていくことになるでしょう。筆者から提案した「レンタルスペースの活用」はあくまで手段のひとつに過ぎません。
経営者のみなさまにおかれましては、柔軟な思考や発想を持って今後も健全な会社経営を続けていってもらいたいと願っています。